![]() フィンランディアの聴き比べをしてみよう。
![]() 3番目は、さらに5年後の1985年第10回サマコンのもの。 指揮は、松浦正純氏。この年は、サマコンのすぐ後に京大との合演が行われており、その折にもフィンランディアが演奏されている。 さて、この演奏は厚生年金会館で演奏されているのだが、音響がずいぶんと違う。よくわかる。残響が異常に豊富だ。第5回サマコンも同じ厚生年金会館での演奏だから、同一曲で比較してみるとよくわかるだろう。マスターテープの段階で、こうなっているので、ホール側が、気を利かして録音段階でエコーを追加しているのだと思う。 厚生年金会館は、堤俊作氏も酷評しているように、残響が極端に短い、砂漠のようなホールだ。県立音楽堂が完成した今の時代では、オーケストラ音楽を演奏をするには不適な場所だ。演奏会パンフレットでも堤氏が音響の悪さを大々的に指摘していたから、ホール側もエコー付加の対策を採ったに違いない。 演奏会場の履歴をみると、厚生年金会館の完成から(1977年頃)しばらくは、ずっとここが使われていた。しかし、この第10回サマコンの前後から、観光会館が復活している。 良いオーケストラには、音響の良いホールがつきものであり、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルしかりである。無理なく音を出すことが出来ることは、オケに良い結果をもたらすはずだ。県民の税金を使って出来た、県立音楽堂も、有効に使ってもらいたい。金大フィルは使えないのだろうか・・。 ![]() ブラスは、音と音の間にちゃんと隙間を入れており、エコーの効果も手伝って、理想的な音形と音響空間を造り出している。エコーなしで(ホール実演を)聴いたら、どうだったのか興味がある。 ![]() 後半、冒険はしないが実に安定したもの。ヴァイオリンの連続シンコペ部分への突っ込み、その後の金管の出など、ピッタリ決まっている。最後のコードへの「ため」がなく、テンポどおりに突っ込んでしまうところが、学生指揮らしい。それまでの重厚な演奏スタイルとかみ合ってないのはご愛嬌。この演奏はなかなか好きだ。 その2へ戻る ![]() |