金大フィルOBのための
ブロードバンドITガイド
 
  この名演集のページの大きな目的の一つは、金大フィルの歴代の演奏をMP3という技術を用いて皆さんにお聴かせすることに在ります。青春時代の、ひたむきな演奏は、それが自分の関わった演奏ではなくても、時代を超えて熱い共感を持って聴いてもらえるのではないかと確信しています。
 しかしながら、実際には、日本のインターネット環境の後進性ゆえに、まだ十分にこれを楽しめる状況にはなっていないようです。つい最近の沖縄サミットでもIT革命の推進が高らかに謳われています。しかし、もっともこれを推進しなければならないのは、当の日本なのです。それでも、最近になって、いよいよ本格的な真のインターネット技術のインフラが発進しようとしています。そのキーワードは「ブロードバンド」です。

 ここでは、情報通信業界に身をおく1人として、これから起こるであろう大きな動きを皆さんいち早く、わかりやすくお伝えするとともに、新しいメディアやインフラを紹介して、MP3をより快適に楽しんでもらうための情報を提供しようと考えています。
 

インターネット後進国


 
 最近のインターネットを使用しているユーザの数は、急激に増えており、やがて3000万人を超えるといわれています。この中で、モバイルを経由してのユーザも、iモードの爆発的な普及を代表として1000万人に迫る勢いです。しかし、一方でインターネットブームのバブルは、一部で既にはじけ、IT関連の株は全滅状態、絶好調のアメリカでさえアマゾンドットコムも債務超過と言われています。なんとなく雲行きが怪しくなっています。

 我らの森首相が盛んにIT技術の発展推進を、念仏のように唱えています。IT革命推進のために、IP担当大臣を置くかは別にして(注)、ともかく相当な力の入れ様で、サミットで、情報技術(IT)憲章の採択となったわけです。さらに、デジタルデバイド(ITを使用する人としない人との経済的格差)の解消まで謳われました。しかし、よーく考えてみると、実は日本がIT2流国であることが一番問題であるようです。これをまず、少し考えてみましょう。

 最近、ある少し年配のOBの方から、HPに関して丁寧なお手紙をいただき、次のような感想を頂戴しました。「MP3を聴いてみましたが、パソコンが悪いのか、私の技術が下手なのか音楽の音がきれぎれになり、あまり良いのに聴けませんでした・・・・」  このお手紙を見て、日本のインターネットの後進性を思い知ったのです。
 実は、普通の95%以上の方々の使用しているインターネットの通信環境では、これは致し方ないことで、あとで詳しく説明しようと思っていますが、通信回線の速度が遅いために、今は、今はです、解決できない問題なのです。私自身もそうです。しかし、このOBの方が期待していたことは、音楽が切れ目なしに聴ける事で、これが一般の人々が期待すること、あたりまえのことなのですね。このあたりまえのことが出来ないのが、今の日本のインターネットなのです

 
アナログ回線(モデム)       最大56kbps
ISDN回線(TA)            最大64kbps
MP3連続に最低必要な速度    最低128kbps

インターネットは夜11時以降になると混む。
kbps(キロビットパーセカンド、1秒当たり**キロビット):通信速度の単位


 では、なんでこうなっているのかを次に考えてみましょう。

 一番の根本的な問題は、通信回線のスピードがMP3の音楽を聴くには遅すぎるということです。左にありますように、通常のこれまでインターネット接続は、モデムを使ってNTTのアナログ回線を使用するか、ちょっと進んだ人で、ISDN回線を使用するかで、いずれにしても、このサイトに置いてあるMP3音楽ファイルを演奏するのに最低必要なスピード128kbpsには、遥かに及びません。
 従って、現在、普通のNTTの電話回線を使用してインターネットを行なっている人は、NTTと一緒である限り、切れ切れ状態の音楽からは逃れられません。技術は世界一のはずのNTTの電話を使っているのに?です。

 そして、さらに、もう一つ状況を悪くしている要素があります。インターネットをやっている人は良くご存知かと思いますが、夜11時を過ぎるとインターネットの表示速度があきれるくらい遅くなります。11時ちょうどから遅くなり、夜中の2時くらいまでは実質的に使えないといっても良いと思います。私は、遅いのには耐えられないので、多少電話代が掛かっても11時前に終わらせてしまいます。11時以降は、MP3のダウンロード等は絶望的状態で、3MB(メガバイト)のMP3ファイル、これは3分くらい長さの音楽に相当するのですが、これを切れ目なしに聴けるようにダウンロードするためには、おそらく1時間かけても不可能だと思います。切れ切れというレベルを超えて、無音といって良いでしょう。

 どうしてこんな状態になってしまうのか?この理由は簡単です、11時からテレホーダイの時間帯となり、日本中の無数のインターネットユーザが一斉に使用を開始するからです。では、なぜテレホーダイの時間になるとみんなが一斉に使い出すのか?これも簡単です、何時間使おうが、テレホーダイ時間帯の電話代は一定金額しか掛からないからです(定額制料金)。電話代が安いからですね。でも、なんか変だと思いませんか?世の中を変革するといわれているインターネットを、それをサミットの推進課題、憲章として高らかに謳っている日本人が、どうして深夜11時以降でないと使えないのでしょうか、しかも、その速度たるや問題外の遅さなのに・・・・。お住まいの場所によっては先に説明した通信速度は、平均で数kbps以下の状態になっているはずです。まるで、日本人が盆と正月にいっせいに移動して、電車や高速道路がぎゅーぎゅー詰めなのと似ていますね。

 これは、見方を変えると、電気消費量の年間推移みたいな風にもみえます。それでは、これはもう仕方がないことなのでしょうか?いいえ、答えはNO! 電気の使用量がピークを迎えるのは、夏が暑いからで、これは誰に変えることはできません。しかし、インターネットの混雑は、NTT電話料金の高さ、という理由だけで、このような行動をユーザに取らせている結果起こっているだけで、本来のIT革命の成就のための環境が整っていないという、それだけなのです。

    MP3をちゃんと上手く聴くことが出来ない理由は、次の2点に集約されます
   1.通信回線の速度が、NTT回線は遅い
   2.NTT市内電話代が高くて、自由な時間に使えないため、混雑して遅くなる


 このように見てくると、日本がインターネットの真の効用を享受できる環境が本当に整っているのか?ということに疑問をもたざるを得ません。事実。日本はインターネット三流国と言ってよいでしょう、最貧国といっても言い過ぎでありません。夜中にしかインターネットの使用を許容しないような仕組みしかない国は、最貧国なのです。さて、ここで、上記の理由を注意して見てみると共通するキーワードがあります。それはNTTです。
 
 そうなんです。インターネットの真のブレイクを阻害しているのは実は、あのNTTなのです。

あるISPのインターネット回線の混雑具合

夜11時より、急激に増加しているのがわかる。睡眠時間帯にしか、インターネットを許容しない国、日本。これ自身が、最貧国の証明。